森博嗣の提案

乙一といえば、古書肆で「銃とチョコレート」を買いました。あの値段のちょっと高い「ミステリーランド」シリーズね。同じシリーズで森博嗣探偵伯爵と僕」が文庫だかノベルスだかになるんですよね、たしか。あのシリーズの中では特別扱いになるのかしら。以下は私見だけど、あのシリーズはエディシオン・コレクトールというか、「持つ喜び」に重きを置いた装丁だと思うんです、なんたって箱入りだし。でも、森博嗣は、ハードカバーは文庫化されるまで読まない読者がおおぜいいる、その読者に奉仕する、という思考が強くあるらしいので、こういう結果になったのでしょう。森博嗣にとって、小説の本を「持つ喜び」というのは些末な問題なのでしょう。わたしは「銃とチョコレート」を手元に置いておきたかったので買いましたが、森博嗣の考え方のほうが正しい、というかよりメジャだと思います。小説にとって重要なのはテキスト、内容ですからね。まあフォントや本全体のデザインもたしかに重要ですけど。あと、「ハードカバーと文庫を同時に出せばいい」という森博嗣の意見はかなり有効だと思います。そんなばかな、と思いこんでいる出版社のひとが多いだけでさ。


以上、べつにわたしが森博嗣のファンクラブに入っているから書いたわけではありません。DVDソフトだって比較的安い通常版と高い特装版同時に出るしなあ。ユーザーの選択肢がまだまだ少ないんですよね、小説って。単に出版業界が特殊すぎるんでしょうけど。