ゴヤ大賞2004<新作部門>

ゴヤ大賞2004<新作部門>が決定いたしました。基本的に、2004年中に発表されたもので、私的なベスト。「ドクロちゃん」みたいにシリーズ継続中で最新作が2004年中に出たものもカウントしちゃいました。順位はアバウトです。

  1. キル・ビルvol.2(映画)
  2. 『24』-TWENTY FOUR-シーズン2(外画……海外テレビドラマ)
  3. 雲のむこう、約束の場所(映画)
  4. DEATH NOTE(MISAラブ)
  5. エイリアス 2重スパイの女(外画)
  6. GIRLSブラボー first season(湯気が)
  7. 空の境界(からのきょうかい 講談社ノベルス版)
  8. 塩の街 wish on my precious(小説)
  9. ハウルの動く城(映画)
  10. ウラ関根TV(TVバラエティ番組)
  11. 魔法少女隊アルス(TVアニメ)
  12. 激★店(TBS放送分)
  13. 撲殺天使ドクロちゃん(小説版ね)
  14. 下妻物語(映画)
  15. 花右京メイド隊 La Verite(TVアニメ)
  16. イノセンス」記念球体関節人形展(美術展)
  17. リセヴィネ(トレーディング・フィギュア)
  18. 吉永さん家のガーゴイル(小説)
  19. Riviera 〜約束の地リヴィエラ〜(ゲーム/GBA
  20. ベルヴィル・ランデブー (映画)
  21. イノセンス(映画)
  22. スウィート・ヴァレリアン(TVアニメ)
  23. CASSHERN大滝秀治

うーん、映像作品ばっかりだ。ぬうううう。

  • Vol.1にくらべるとかったるい「キル・ビルVol.2」がベストワン、はじぶんでもどうだろうとは思いますが、でもわざわざ出かけて大画面で見る映画は、あれくらいに針が振り切れているほうが良いです。スクリーンを指さして、えーっ!? それでいいの!? ってお客が心配するくらいでちょうど良いのです。映画は見せ物興行なのです。いかがわしいのです。プロアマ問わず、それのわからぬ愚かな批評家のなんと多いことか。これを書くと長くなるのでこのへんで。みなさんもネット上なんかの感想を(以下略)。
  • 『24』-TWENTY FOUR-は、わたしがコメントしてもしょうがない。見てくれ、としか言えません。シーズン2での「大統領と一捜査官がツーカーの中」とか、「国家的な巨大な陰謀」とか、「常識を越えたハイテク・ガジェット」とか、ライトノベル的に虚構性がかなり高い、オタクっぽい世界観をもつドラマなのに一般のひとにも受けているらしいのがおもしろいです。でもわたしの周囲には、通しで見ているひとがひとりもいません(TT)。『24』-TWENTY FOUR-くらいのカっとび程度ならばふつうのひとでもスっと受け入れてくれる、というのは本邦の映像制作者たちにはよーく考えて欲しいです。
  • エイリアス」、まだシーズン1も見終わってないけど、部分的には『24』-TWENTY FOUR-を越えるほどにすっごくおもしろいから入れちゃった(^^)。「DEATH NOTE」みたいに正体がバレるかどうかでハラハラ。
  • 問題作「塩の街」。あーっ、アレがモトネタか……と思って読んでいると、ミッドポイント*1以降は意外な方向へ展開していく。ねえみんな、これって、読んでる最中はすっごくすっごく感動するけど、読み終わったあとに……アレ? って思わなかった?(^^) 泣きじゃくりながら読了したのち冷静になると……これはねじれたユーモア小説なのでは? とか。ビジュアルを想像すると*2、単純には比べられないけど乙一の作品と相通ずるおかしみがある、というか。

あと、ほんとに些末なことですけど、ある登場人物の名前が頭の中でひっかかりました。作品から察するに作家はおっちょこちょいなんかでなくってとても教養の豊かなひとと思われるし、編集者や校閲のひとが見のがさないはずだから、わざとですよね? わたしの頭脳が貧しくて、理解が及んでいないだけですよね?
わたしもよしゃアいいのについネット上の感想を読んで気になるのは、「女性作家にしては自衛隊の描写がリアル」ウンヌンといういいかた。小説に男も女もないッ。表現において、その魅力において大きなちがいを生むのは個体の能力の差であって断じて男女差ではない。痴れ者ッ。

  • ハウルの動く城」、カルシファーの原画はぜんぶ監督が描いたってほんと? ドキュメンタリー「もののけ姫はこうして生まれた」で、あの当時でもまだ監督みずから原画に手を入れて修正していたのには仰天したけど、チェックだけでなくて作画そのものもいまだにやっていたとは。

ハウルの動く城」、というよりハウルへの否定的な意見に関してはキャプテン岡野の感想に得心しました。たしかに、感性で楽しめるこどもや一般のひとはともかく、ネットに感想を書くような、なまじ半端な審美眼を持つオタクの観客には楽しむのがむずかしいかもしれません。好きなアニメをより深く理解するために、作品の源流を探るために、背伸びをしてあえてタイクツかつ難解な映画を見たりするのは単なる自己満足に過ぎず、美風でもなんでもないのでしょうか。教養主義の拙いマネゴトなのでしょうか。わたしはハウルを見て、わかんないながらも楽しめた「シビラの悪戯」や「アヴェティック」、「父 パードレ・パドローネ」とかを連想しました。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~captain/  放課後妄想クラヴ>オカノ通信

  • イタリア語講座でおなじみ、土屋アンナが出ている「下妻物語」は、アニメファンなら絶対に見なければダメ。なんでかっていうとアニメパートをSTUDIO4℃*3がやってるから。それをさしひいても、ちょっとヘンテコなじつに面白い感動作なので未見のひとはいますぐゴウ。深キョンのファンになってしまいました。 これ、劇場でかかっていた予告編があんまりよくなかったんだよね。ネット上の評判にひかれて、見てみてびっくりしました。もっと早く見れば良かった。
  • ベルヴィル・ランデブー」は、あらすじも知らずに見に行ったので、ほんとうにどびっくりしました。感想サイトを巡ってみると「サントラ欲しい!」の声が多数。ごもっとも。音楽がとにかくすばらしい。これもアニメファンなら見ないとダメ。
  • 激★店」は、TBS放送分は終了。つづけて見たければ受信機を買ってBS-iをどうぞ、ということか。いまだ録画しただけのぶんもあって(^^)、けっして熱心なファンとは言えないのですが、なんか奇妙な雰囲気がスキです、この番組。Dropsとして出演した金田朋子の回は永久保存です。笑いすぎて死ぬかと思いました。
  • CASSHERN」は、宣伝の写真での、ビルの全面に大滝秀治の顔がドーン! を見たとき、あっ、すっごくおもしろい! ただし「ウラ関根TV」的に! と思いました(^^)。このへんのセンスがわからぬ愚かな批評家のなんと多いことか。牽強附会だけど、後継の番組があんまうまくいっていないのを見ると、「ウラ関根TV」の終了をあらためて残念に思います。それはさておき、「CASSHERN」みたいなアレな映画は減点法で見るよりも、「よかった探し」をすると楽しめます。アンドロ軍団のロボットが、パっとシルエットになるとこなんか最高にシビれるじゃん? あれでもう40分短ければもっと楽しめたんですが(^^)。DVD特典の樋口コンテ見たかったなー。分売してくれないかなー。
  • イノセンス」記念球体関節人形展はすばらしかったなー。門外漢のわたしも興奮しました。天野可淡ほかの作家による球体関節人形は、もちろん旧作もふくまれますが展示会そのもの、として新作に入れました。「イノセンス」よりおもしろかったです(^^)。
  • GIRLSブラボー first season」は、#1を見て偏見にまみれていたじぶんを恥じました。キチガイみたいな設定や表層的なものに惑わされていました。あおきえい監督の名前を頭に刻みました。なんたってシンメトリーを巧く使った構図が美しい。#1、#2は絵コンテもしくは演出、そして実写ならば編集に当たる技術*4のレベルがとても高くておもしろかったです。映像作品として傑作です、湯気さえなければ。

*1:お話の転換点

*2:イラストでは美しく描かれているので読んでいる最中はあんまおかしなことは想像せずにすみます

*3:スタジオヨンドシー。ド・シーがもし機種依存文字でうまく表示されていなかったらすみません

*4:アニメにおける編集さんの仕事に関して無知なので、あいまいな表現ですみません