色とファンタジー 4

朝から出かけて、いくつかの対照的な内容をもつ映画を見ました。映画のひとつは「Couleurs et Fantaisie 色とファンタジー 4」と題して上映された3本の中・短篇映画上映会。
まず銀座へ。エルメス・ジャポンからの招待状を手に、ソニービル近くにある、エルメス10階の映写室ル・ステュディオへ。なにぶん高級ブランドであるエルメスでの映画上映、ディレクターズ・スーツを引っ張り出して、コモシルクのネクタイを締めてリモ(リムジン)に乗っていきました。ごめんなさい、うそです。脇道から地見めな出入口を通ると、エレベータ前で上品なおにいさんとおねいさんが待っていて、名簿と照らし合わせるのですよ。ううむ。わたし以外のお客さんも、裕福そうなご婦人ばかりでした。ううむ。
↓「〜〜ゆらゆら大陸〜〜」、11/06にて紹介されていたので、申しこんで行って参りました。12月11日までの毎週土曜日です。
http://d.hatena.ne.jp/unun/20041106
なんと無料の公開です。トレビヤ〜ン。わたしもうエルメス以外の製品は買いません。


●「The Orchestra ジ・オーケストラ」 監督:ズビグニュー・リプチンスキ
これは74分の中篇。制作にはNHKも関わってるらしいです。こういうものに受信料が使われるのはたいいへんにすばらしいことです。この元国家安全保障担当大統領補佐官みたいな名前の監督による演出プランを想像しただけでわたしの貧しい頭脳はパンクします。役者にはおそらく毛ほどのアドリブも許されなかったでしょう。
……さいしょ映った映像で、ビデオでの撮影とはっきりわかる。えっ、おれビデオの画質嫌いなのよ、と思いましたが、すぐに気にならなくなりました。ワンシーン・ワンカットが多用されているので、ビデオでないと難しかったでしょうね。いまならばハードディスク・レコーディングとかのテもあるから長回しは半永久的にできるでしょうけど、なにぶんこの映画は1990年の制作なので。ビデオの場合、合成している部分がかなりはっきりとわかり、チープな印象を受けて興ざめになりがちなのですが、とにかくアイディアの独創性と、編集のうまさもあって、圧倒されたまま74分間過ぎてしまいます。
ストーリーらしきものは特になく、主として生と死とにかかわるイメージがモーツァルトラヴェルの音楽に乗ってつづられます。陳腐な表現しかできませんが、音楽がもし眼と耳との神経に同時に伝達されたらこうなるのかな、と感じました。
あえてメッセージを見つければ、反戦であるとか、全体主義体制への批判とかがありますが、マーそういうことはどうでもよろしい。わたしが知らないだけで、世界には色々な形の優れた才能があるのだな、と言うことをあらためて思ったです。
●「Le Canard a l’orange 鴨のオレンジソース蒸し」 監督・脚本:パトリック・ボカノウスキー
これはなんと申して良いのやら。立体アニメも使っているのかしら? CG? 全編にわたって画面がゆがんでいる不思議な短篇。
●ダリとディズニーの共同作品「Destino デスティノ」 監督:ドミニク・モンフレ、モントルイユ・ディズニー・スタジオ
ダリの絵が動いてる!(^^) 従来のアニメの技法と、3DのCGとが混在する短篇アニメです。ディズニーにもこういう極端に芸術的、実験的な指向があった、ということを初めて知りました。諸般の事情から未完だったものが、さいきんになって完成されたらしいです。ただマー21世紀のいま、この作品が企画当初の意義を持っているかどうかはなかなかに難しいところです。表現のかたちがアニメである以上、わたしはどうしてもほかのアニメと比べてしまうので。


牽強附会だけど、新海誠監督「ほしのこえ」を見て、「作者はおのれの好きなことだけをやっている」と評したヒトは、批評をする資格は無い。アニメばっか見てたらダメですよ、オタクならば。たとい難解な芸術作品だって、つくりあげるまでにはじぶんを殺すコトは必要なのよ。
↑うーん、これはちょっと言い過ぎ。頭が熱いので笑って許してくださいね



映画、あとひとつは新海誠監督「雲のむこう、約束の場所」。感想はまだ頭が熱いので書けません……。思いついたところから、少しずつメモします。