江戸川乱歩「蟲」

NHK教育テレビ「わたしの、こだわり人物伝。」見る。大槻ケンヂ江戸川乱歩を四回にわたって語る。第三回目に取りあげられた作品は「押絵と旅する男」と「蟲」。「蟲」は、光文社文庫江戸川乱歩全集 第5巻」では、作家本人が不出来、と自作解説に書いてますが、たしかにちょっと拍子抜けする感じもあります。でも凄みがあるお話であるのは確か。オーケンが「『パノラマ島奇談』を表ベストとするなら、乱歩の裏ベストはこれ」というだけのことはあります。趣旨は違えど、本田透電波男」を読むと、この「蟲」を連想せずにはおれませんねえ。


オーケンの朗読でも、字幕でも、しっかりはっきりと「気違い」って言葉が使われていたけど、権威ある文学作品の場合ならば放送で言ってもオーケーなのかしら。ひるがえって世間の通り相場が良くない、特段の権威の無い、過去につくられた特撮番組やアニメとかだとダメなのかよ。いいけどさべつに。マア江戸川乱歩のようなエログロ要素を持った文学に権威があるかどうかはわかりませんが。
オーケンの、おだやかながらも鬼気迫る紹介が良いせいかもしれないけど、乱歩ってほんとにおもしろいですね。まだごく一部しか読んでいないので、全作品の読破を目標にしたいです。明智探偵が活躍する長篇とかぜんぜん手つかずなんだもの。