Live at 『ファウスト』@講談社

文壇を震撼せしめるシークレット・ビッグ・ギグ、「Live at 『ファウスト』@講談社」見てきました。たいへんに楽しく、またほんとうに勉強になりました。
みなさんもよくご存じのように、護国寺にある講談社の高層棟と本館とにはさまれた場所に、アトリウム棟と呼ばれる最高機密ビルが建っています。呼称の通りアトリウムを中心につくられた美しい建物です。しかし外見とは裏腹に厳重なセキュリティ体制がとられています。入館に際しては招待状と旅券とによるアイディンティファイののち、ふたつのゲートにはさまれた白い部屋に通されると、バシンと大きな音とともに室内には紅い光が満たされ、不審物の持ち込みがなされないように室内にいる全員が瞬時にスキャンされます。そののち、参加者は当日限りの最高機密接近資格を示すビジター用のIDを首から提げてN201特別秘密会議室へ誘導されます。分厚いドアにはなぜか、エヴァンゲリオンでおなじみ、バイオハザードマークが貼られていました。
……開演前の会場に流されていた音楽は、なぜか「ゴッドファーザー・パートII」と「ゴッドファーザー」のテーマ。……はっ! これはマフィオーソの間でかわされるという情け無用の血の契約、沈黙の掟「オメルタ」の意味!? もし掟を破って参加者がウェブ日記に詳細を書くと、コンコン(ノックの音が)。ガチャリ。はい? ドン、ドンッ(ダブル・タップ)。うっ。バタリ。チャリ……(『掃除人』が空薬莢を拾う音)。


というわけで、ライブ鑑賞者の仁義として、掟をかたく守り、詳細はもちろん書きませんが、文学界の若きVIPが集うライブは心から楽しめたコトは記すことができます。太田編集長の、本格推理をふくめた文学へ向ける魂にも、これから台頭するであろう若い書き手への熱意にも感動しました。
参加者のなかには、女性のかたがだいぶんおられました。すばらしい。会場が華やかです。西尾維新の熱情が美しい文でつづられた戯言いやさ玉稿と、東浩紀の問題提起のものと、2通のメールが紹介されたのち、乙一による合宿秘蔵映像を収めたDVDの初映写……合宿での講評会に東浩紀が! なんでアズマが! いいけど。
競作短篇を一瞬で書き上げたという西尾維新はやはり画面には映っていませんでした。競作のものとリレー小説とを合宿中に脱稿せねばならないという過酷な状況下で、執筆に悶え苦しむ作家の姿には鬼気迫るものがありました(除西尾)。とにかく素晴らしいDVDでした、いろんな意味で。
トーク開始。北山さんはたたずまいも発言もかっこいい! もうすっかりしびれてファンになってしまいました。ジーク・本格! ジーク・物理! 女性書店員のかたは北山作品大プッシュすべし。ってゆーかこの四人が四人ともみんなそれぞれにかっこいいんだよなー。乙一は、とつ……とつ……としたトーク。ライブのあとに缶詰執筆が待っているというユヤタンは世界のすべてを敵に回したがごとくのブラックなキャラをブラックなしゃべりかたで演じていて、ほんとおもしろいひとだな、と思いました。ここには書きませんが、ブラックな愛称もぴったり。タッキーはあらためて思うけど良い声です。Vol.4に載っているオキナワでの写真見ると、海の男、って感じ(^^)。
熱気渦巻く会議室に西尾維新から新たにお手紙到着。西尾維新は某・人気まんが/アニメのキャラを持ちネタにしてるらしいであります。
質疑応答の中には、わたくしにとって、とてもとても興味深いものがありました。そののち、寄せ書きサインの入ったウルトラ・レアなプレゼントを「限定ジャンケン」での争奪戦。負けた参加者は……クククク……。 
参加者へのおみやげ:書肆配布用宣伝物。ファウストがいっぱい売れて編集長が出世してもっと大きな権力を持てばつぎのライブではさらに豪華なものが望めるかも……それはさておき中身は組み立て式平積みケースと陳ビラ(表紙イラストに宣伝コピーの入った細長いポスター)。「陳ビラ」ということばを初めて知りました。……あっ! うっかりしてID持ち帰ってきちゃった。「返却」って書いてあったのに……。
余談。乙一メールマガジンにおいても編集長に「おつさん」と呼ばれていたけど、姓は乙、名は一、なの? スタンダールみたいに単独の名前かと思ってましたが。
↑保安上の理由から、事実とはげしく異なる記述および戯言が含まれています。ご了承ください


ウェブサイト主催者のかたがもしこの日報をお読みであれば、老婆心から少しだけ。
冗談ヌキで、今回のトークライブに限らず、ライブ会場での発言は基本的に「応募などの手間を惜しまず、会場に足を運んでくれたひとへのサービス」であり、中には「ここだけの話」も含まれることもあります。したがって、それをウェブ日記などで詳細に記述すると、つぎのライブがあったとして、出席者はみな微温湯的な発言に終始したり、またライブそのものの機会が失われたりするかもしれません。「ええっ、そんなデインジャラスなこと言っていいの!? でも笑えるからいいや!」とか「うわあっ、それはヤバすぎる! 人間関係にヒビが入るんじゃないんですか先生!? でももっとやって!」とかいうふうに楽しめるライブやイベントが減ってしまうかもしれません。
上記のようなコトは出席者から特段に念を押されずとも、ネットを含む不特定のひとの眼に触れるところでの表現には熟慮をしたほうが良い、と思います。以上は私見です。よしなに。


……さらに余談。イベントとは関係ありませんが、いつから「彼女」のことを「人間彼女」と呼ばなければいけなくなったのだろう(タッキーだけ?)。リアル妹もそうだけどさ。