松チョイで「美晴さんランナウェイ」

「王様のブランチ」見る。ブックコーナー、今週の「松チョイ」は、山本幸久「美晴さんランナウェイ」。ある一点を除いて、ライトノベルみたいな飛び道具はない、ふつうの小説なんだけど、「あーっ、『小説』を読ませてもらったなーっ!」っていう気分にさせてくれる素敵な一冊。そうだよ、小説はこうこなくっちゃ! でもライトノベルを越えるほどにキャラが立ちまくりなの。タイトルにもなっている、美晴さんという妙齢の美女がとにかくちゃらんぽらんの気分屋で、ほんとに魅力的。


文章というか言葉のチョイスがものすごく巧いので、一人称だか三人称だか視点がアヤフヤになってる書き方もぜんぜん気にならない。っていうかこの文体しかない! って思わせられる豪腕が作者にはある。美晴さんのセリフのおかげかな、小説的な強さの源泉は。

あと、忘れちゃいけないのが、いっつもこの叔母、美晴さんのペースに巻き込まれちゃう、姪っ子であるヒロインもじつに良い娘なんだよなー。泣かせるよ。ほんとに良い小説です。
表紙イラストがもうちょい一般受けする絵柄だったらよいのにな、と思っちゃった。良い絵ではあるんですけどね。

美晴さんランナウェイ

美晴さんランナウェイ