スカイ・クロラ

森博嗣「スカイ・クロラ」の感想。「ナイン・ストーリーズ」からの引用があるからあからさまだけど、この作品ってサリンジャーの影響をまったく隠していないですね。「死」が妙に軽く描かれる部分とか。

ぜんぜん前知識なしに読んでどびっくりしたんですが、一番最初に刊行されながら、シリーズ最終作なんですってね。読んでいて違和感を覚えていたのはそのせいか。謎が解決されぬままにエンディングに向かいます。エンタテインメントらしいカタルシスはない。でも言語化しにくい味わいがあるのは否めない。褒めたくないけど魅力に溢れていることだけは否定できない。ああ書いていてもどかしい。