「天国で迷子」

深見真(ふかみまこと)「ヤングガン・カルナバル 天国で迷子」(徳間Edgeノベルス)読む。学園青春ガン&武術アクション・シリーズも早や4作目。「天国で迷子」といった各巻のサブタイトルだけでなく、本文の、各章のタイトルが、詩的だったり、キャッチ・コピーのようだったりして、どれもかっこいんだよね、このシリーズ。
以下、表4(裏表紙)に書かれたあらすじにて公開されている範囲で、ネタをあまりバラさないように書きます。今回は漫画研究会の楽しい合宿編。あまずっぱさのあまり、クラクラしてきました。鼻の奥がツーンとしてくる。なんかもうしみじみとして泣けてくるよ。余談ですが高校生のとき、わたしも漫画研究会に席をおいておりました。合宿でなくて日帰りだったけど、交流会があって、そのときのアレコレを思い出してしまいました。くーっ。小説の内容とドンピシャ。んで、白い水着が…… ←ひとりごとです
文章が巧く、テンポも良いのでたいへんに読みやすい。それでいて、「読み飛ばす」ことを許さぬ濃密さがある。また、蕗野冬(ふきの とう)の描くイラストも、装丁の良さとあいまって、ますます美麗。キャラの魅力だけでなく、銃器の質感の表現も素晴らしい。
……でもその一方、血なまぐささも、キャラの強烈さも、ピンチの度合いもヒートアップ。「デスパレート」とはこの作品のためにある言葉だ。……こっ恥ずかしいほど甘酸っぱい。限度を超えて暴力的。……この鮮烈なコントラストが「ヤングガン・カルナバル」シリーズの魅力。ただね……今回だけでなく、各巻が、毎回まいかい「もっとまとめてたくさん読みたいよう!」と不満を覚えさせる短さ、薄さなのが、唯一の瑕瑾。

ヤングガン・カルナバル―天国で迷子 (トクマ・ノベルズ)

ヤングガン・カルナバル―天国で迷子 (トクマ・ノベルズ)