リチャード・クー「幻のドイツ空軍」

しばらく前に、リチャード・クー「幻のドイツ空軍」(PHP研究所)を入手できました。版元品切れなのですが、とある古書肆で定価よりも安く買えたので、助かりました(^^)。第二次大戦のドイツ軍用機を中心に、プラスチック・モデルを撮影した写真集。著者はテレビによく出る、野村総研のあのひとです。同一人物です。富野由悠季「映像の原則」の中で紹介されていて、見たいな、と思っていました。
特撮? には違いないのですが、一切の合成がなされていないということに仰天しました。著者によれば、模型は組み上げも塗装も基本通りのものだけをほどこし、マニアックなディティール・アップはなされていないそうで、たしかに一目で模型だな、とはわかるのですが、自然光のもと、現実の風景をバックに撮られているので奇妙なリアリティがあるのです。

そのへんにあるプラモデルを、そこそこに作ったもので撮影をした飛行機と軍艦、自動車の写真集だったのですが、そのリアルなボリューム感には圧倒されたのです
富野由悠季「映像の原則」P187から引用)

栗林慧という写真家が昆虫を接写した写真をテレビで見ましたが、それを連想しました。パンフォーカスっていうんでしょうか、手前の模型にピントが合ってるんだけど、遠景の雲や建物もあんまりボケてはいない、っていう。撮影機材を研究、自作したらしいです。ないものは自分でつくってしまえ、というクリエイターの鑑。