ファウスト Vol.5を近所で

ファウスト Vol.5の感想#01。Vol.5の文中から何カ所か引用します。
Vol.1はなかなか店頭で見かけず、中野のマニアむけのお店で入手しましたが、ファウストVol.5は近所の書肆でも平積みになってました。Vol.4が出たときはまんがの台でしたが、今回はノベルスの棚。弁当箱本を通り越してサイコロ本ですね。約540グラムあります。寝床で読むのが少し怖い。ひさしぶりに、雑誌を「むさぼる」と言うにふさわしいほど読みふけりました。
ファウスト vol.5 (講談社 Mook)

上遠野浩平スーパー・トークセッション

廃線上のアリア

西尾維新が参加しているので「上遠野浩平スーパー・トークセッション」をまっさきに読んでしまう。途中から北山邦猛がスペシャル・ゲストで登場。……このセッションで、わたしにとって一番うれしかったのはP161、編集部のコメント。

──西尾さん、北山さんが『ファウスト』Vol.4で書かれた『廃線上のアリア』に見事に騙されたんだよね(笑)。

とある。わたし、「廃線上のアリア」を読んで、えーっ、って叫んじゃった。そこかしこで、アレ? とは思ってはいましたが。でも、騙されるのはわたしの頭が鈍いからであって、ミステリ読みのひとは難なく看破するだろうな、と思っていましたが、鹿鳴館大学の西尾維新でさえ! 胸をなで下ろしました。

複数視点

視点に関しての、上遠野浩平の発言が興味深かったです。

上遠野:複数視点から書くというのは、氷室冴子先生の得意技だったんですよ。だから<ブギーポップシリーズ>のやり方は氷室冴子先生が八〇年代にやったことの繰り返しなんです。そういうのはとくにネットの言説では流れにくいんですよね。

キャラクターに魅力がなかったり、そもそも作家に筆力がなかったりすると、視点人物が複数おかれるのは目も当てられない事態を招きますが、文豪・氷室や上遠野浩平のような名手がやると、ビシリとキマってかっこいい。氷室作品で複数視点が特に印象に残るのは「冬のディーン 夏のナタリー」かしら。
余談ですが、氷室冴子銀の海 金の大地」が版元品切れという信じがたい状況はなんとかならんのですかね。